可知 豊:サラリーマンでありながら、ときどきコンピュータ技術の便利なとこを 普通の人のために解説する記事を書いたりしています。 OpenOffice.org関係にも積極関与中。詳細...■
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Tue, 20 Dec 2005
続・StarOffice/OpenOfficeがMicrosoft Officeに勝てない理由
Posted at 09:50 in デスクトップ::openofficelife is beutiful の中島さんから、次のようなコメントを頂きました。
life is beutiful の中島です。私が何かとんでもない勘違いをしているのでしたら、ぜひともご指摘いただけると助かります。私の「誤解」が、そのまま大勢の人の「誤解」となってしまったらご迷惑をおかけするかもしれませんので。
私のほうこそ、中途半端なトラックバックで失礼しました。そこで、もう少し真面目に説明してみたいと思います。とはいえ、「ブルーオーシャン戦略」という本は読んだことがありませんし、"私がCEOなら採る戦略"についても、特に異論はありません。
さて、中島さんは、次の項目をOOoの戦略だと指摘しています。(以下、すげー長文)
- ファイル・フォーマット(Microsoft Officeとの互換性)
- 豊富な機能
- "big fat client"なアーキテクチャー
1番目のファイル・フォーマットは、一瞬OpenDocumentのことかと思いましたが、そのあと"「Microsoft Office のファイル・フォーマットとの互換性」を100%捨てる"とあるので、互換性の話だということがわかります。しかし、これを捨てたら見向きもされないのは、言うまでもありません(^^ 世の中には、Microsoft Officeと互換性の高くないオフィススイートはいろいろありますが、ほとんど注目されていません。互換性を捨てることで得られるメリットがあるのなら、それは注目に値するかと思いますが、互換性を捨てなくても得られるなら、それに越したことはないでしょう。それに、デファクトスタンダードとの互換性を持つのは、Microsoftの常套手段でもありますし、そこから新しいアイデアを提示していけるかが見所だと思います。
OOoの「豊富な機能」は、現在の水準ではそれほど豊富ではないように思います。それよりも注目すべきポイントは、Microsoft Officeが各ツールの寄せ集めとして、旧バージョンとの互換性を維持しながら、増築を重ねて豊富な機能を実現しているのに対して、OOoは最初からオフィススイートとして一貫して設計されている点だと思います。また、その内部構造としても、多くの技術的な下地が作り込まれています。一番Microsoft Officeが真似しにくいところでもあります。
「big fat client」は、OSレベルでは問題にならないかも知れません。Ajaxオフィスと比較すれば見劣りするように見えますが、すでにいくつかAjaxオフィスに相当するものが登場してしていても、その評判は聞こえてきません。一方、OOoの主力開発者であるSunは、SunRayというシンクライアントマシンを持っています。これはOSごとサーバー上で動作させます。Sunとしては、とりあえずこれで十分なのでしょう。また、OpenDocumentをサポートしたAjaxオフィスも登場したので、このサーバーサイドでOOoが動いていればMicrosoft Officeとの互換性も実現できてしまうのでは?
では、OOoの採用している戦略は、どんなものなのか。投資家に向けて説明する必要はないせいか、手頃な資料を思いつきませんが、とりあえずプロジェクトマネージャーのLouisのスピーチが参考になると思います。
私の個人的な理解としては、こんな感じです。これらは、Microsoft Officeにはない特徴だったりMicrosoft Officeが必死で真似しようとしている特徴だったりします。
- オープンソース
- OpenDocumentフォーマット(IBMとジャストシステムもサポートを表明)
- Microsoft Officeとの、実用的な互換性(Microsoft Office自身が、旧バージョンとの互換性に苦しんでいるので、まあこんなものじゃないか)
- 一貫して設計されたオフィススイートとして、文書処理エンジンの標準になる(クライアント、サーバーを問わず)
- マルチプラットフォーム、そのためにプラットフォーム依存部分が分割されているので、ShinClientっぽい物も実現しやすい
- Unicodeによる国際化対応
- XMLファイルによるファイルフォーマット
- プログラミング言語から独立したオフィススイート用API
- 独自のコンポーネント指向
オープンソースとオープンスタンダード。これが、OOoの最大の戦略だと思います。オープンソースについては、Microsoftも真似できませんが、OpenDocumentによるオープンスタンダード化は大きな話題になっていることはご存じのとおり。
そのほかは、わりとテクニカルな特徴ばかりになってしまいました。これでは、カジュアルなユーザーには、まだまだ届きにくいかも知れません。これは、今後の課題です。Microsoft Officeが大きなシェアを占める現状では、それをひっくり返すのにも、それなりの時間がかかると思います。のワリには十分すぎるくらいな注目を集めていると思うんですが如何でしょう。
中島さんが提言している「3.「ネットワーク機能」で新しい次元での価値を生み出す」は、私も非常に面白いところだと思います。すでに多くの人がその実現に向けて動いているようにも思います。「SOA」なんてキーワードもありますし。OOo自体もそのために必要な技術的な下地を備えており、次のバージョン3.0に向けてコンセプト作りを進めています。そして、Microsoft自身も「Microsoft Office System」として数年前からさかんに売り込んで(そして失敗)してきましたが、Office12によって現実のものになるかも知れません。中島さんが上げていた例も、OOoを利用すれば比較的簡単に実現できるかも知れませんネ。私も、OOoにかぶせるグループウェアとかワークフローエンジン、CMSのようなものが欲しいです(^^
とはいえ、どれが勝つかはよくわかりませんし、当面はMicrosoft OfficeにOOoが勝たなくても良いかも知れないと思います。何はともあれ、便利で面白いツールが次々と登場してくることを私も楽しみにしています。ご参考になれば幸いです。
Copyright 2005-2007 Yutaka Kachi
