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Fri, 07 Jul 2006
月刊「OpenOffice.orgコミュニティ通信」-4月号、掲載されず
Posted at 14:57 in デスクトップ::openoffice以下の原稿は5月に書いたものです。元々ITmediaに掲載する予定だったんだけど、都合によりキャンセルにしました(ToT けっこうタイムリーな話題も盛り込んであったんだけど、今とはなっては古すぎるかなぁ。もったない。せっかくなので、ここで公開しましょう。ODFのISO承認やグラフ機能の改善状況といった話題があります。
今月一番の大きなニュースは、OpenDocumentフォーマットがISO承認だろう。これについては、じっくり解説するが、それ以外にもユーザー向けの情報から開発動向まで、OpenOffice.orgを取り巻く面白い話題を紹介しよう。
今月のよくある質問:Microsoft Office互換ツールなの?
まずは、OpenOffice.org Q&Aに寄せられた質問の中から、面白い話題を紹介してみよう。最近目立ってきた質問は「OpenOffice.orgのファイルをWordやExcelやImpressで開けません」というもの。どうやら、OpenOffice.orgで作成した文書をそのまま標準フォーマットで保存して、それをWordなどで開けないという人が多いらしい。「OpenOffice.orgはMicrosoft Officeと高い互換性を持っている」という説明を、多くのカジュアルユーザーが「Microsoft Officeクローン」と誤解した結果のようだ。
OpenOffice.orgは、Microsoft Officeと高い'ファイル'互換性を持っている。また、操作も似ている。しかし、これはMicrosoft Office互換ツールとかMicrosoft Officeクローンということではない。
OpenOffice.orgで作成したドキュメントをWordやExcelやPowerPointで開けるようにするには、「名前を付けて保存」する際に「ファイルの種類」を次のように選択する。
- ワードの場合:Microsoft Word97/2000/XP (doc)
- エクセルの場合:Microsoft Excel97/2000/XP (xls)
- パワーポイントの場合:Microsoft PowerPoint97/2000/XP (ppt)
もしも、あなたの周囲で、そんなことでOpenOffice.orgにつまずいている人がいたら、ぜひアドバイスしてあげて欲しい。デフォルトの保存形式を設定変更することも可能だが、その場合は編集情報が全て保存されるとは限らない。また、Word95形式では日本語情報が保存できないので注意しよう。
このような問題が起こるのは、ドキュメントを作る操作が、それだけWordやExcelに似ているということなのだろう。カジュアルユーザーが迷わないように、情報を的確に伝えることは、一見地味だけどユーザービリティを改善する上で、重要な課題になる。
NeoOffice 1.2 アルファ版リリース
Mac OS X用オフィススイートであるNeoOffice1.2のアルファ版が登場した(http://trinity.neooffice.org/)。これは、OpenOffice.orgのMac OS X(PowerPC)版を元に、X11依存の部分をJavaに置き換えたもので、ひらぎのOpenTypeやAquq風メニュー対応となっている。ライセンスは、GPLであるる。今回リリースされたバージョン1.2Alpha2は、OpenOffice.org2.0.2をベースにしたもので、OpenDocument対応などを盛り込んでいる。
今回のリリースでは、Early Access Programを採用している(http://www.planamesa.com/neojava/ja/earlyaccess.php)。このプログラムは、有償で、公式リリースより前にアルファ版を利用できるというもの。公式リリースは、5/23に予定されている。
NeoOfficeは、OpenOffice.orgにない特徴を持っている。カジュアルなMacユーザーには、こちらが使いやすいだろう。しかし、動作が遅く、IntelMacには対応していないという課題を持つ。また、Mac OS X版OpenOffice.org2.0.2のソースコードを利用して開発されているため、2.0.2と同じ不具合を持つと思われる。NeoOfficeの品質向上のためには、Mac OS X版OpenOffice.orgの品質向上も欠かせない。
グラフ機能は改善されるか
OpenOffice.org2.0は、従来バージョンから多くの機能を改善したが、ほとんど変わらなかった機能もある。そのひとつが、表計算のグラフ機能だ。そこで、バージョン3に向けて、新しいグラフ機能(Chart2)の開発を進めている。現在、新しいグラフ機能を組み込んだ開発版(Developers Snapshot)を公開している。
新しいグラフ機能では、ウィザードのデザインを刷新したほか、折れ線グラフをなめらかな曲線で描く機能をサポートする。また、要望の多かった散布図や第2軸によるグラフの表示に対応している。ただし、開発版ということで、まだ全ての機能は実装していない。動作も不安定になる可能性がある。
多くのユーザーが事前に使って、問題点をフィードバックすることで、この機能の完成度が高くなるだろう。
Google Summer of CodeとOpenOffice.org
昨年に引き続いて、Google Summer of Code2006が開催される。これは、オープンソースソフトウェアを開発したり、開発プロジェクトに参加する学生を企業が支援するものだ。OpenOffice.orgプロジェクトでは、前回何人かの学生がこのプログラムを利用した。今回も、参加希望の学生のために、いくつかのアイデアを公開している。
日本からの参加者が、それほど多くないという意見もあるが、OpenOffice.orgプロジェクトでは、指導者(Mentor)として昨年に引き続きKohei Yoshida氏の名前がある。彼は、OpenOffice.orgの表計算ツール用線形-非線形最適化Solverの開発者として、OpenOffice.orgプロジェクトに貢献している。
OpenDocumentは、ISO26300として承認
5月3日、OpenDocument Format Alliance(ODF Alliance)は、オフィス文書フォーマットOpenDocument Format(ODF)が、国際標準化機構(ISO)と国際電気標準会(IEC)で国際標準として認定されたと発表した(ITmedia)。
すでに何度も紹介しているが、OpenDocument(ODF)は、統合オフィスソフト(ワープロ・表計算・プレゼン・ドロー)用でXMLベースの標準ファイルフォーマットである。ドイツのStarDivisonが開発していたStarOfficeに由来するのではなく、SunがStarDivisonを買収したあとに、SunのXMLエキスパートによって、OpenOffice.org用のファイルフォーマットとしゼロから開発されたものだという。現在はOASISという国際的な標準化団体で管理している(ITmedia)。
このニュースは、多くの媒体やblogで取り上げられた。その反応を見ていると、いくつかのパターンが見て取れる。
まずは、Microsoft Officeのファイルフォーマットの影響のほうがずっと大きいだろうと言うもの。これは、ユーザーベースの大きさの違いから致し方ない。ただ、Microsoft Officeのファイルフォーマットの標準化に大きな影響を及ぼしたことは間違いない。
また、OpenOffice.orgとOpenDocumentをひとつの物と見る意見も目に付いた。たとえば、OpenDocumentのISO承認よりも、OpenOffice.orgのVBA互換機能のほうが重要だという意見だ。OpenDocumentを採用しているのが、OpenOffice.orgとKOficeといったソフトウェアに限られている現状では、これも致し方ないかも知れない。しかし、標準化の影響を考えるときには、数ヶ月後、数年後の状況を想像して欲しい。
OpenDocumentの普及団体のひとつであるOpenDocument Fellowshipは、OpenDocument対応ソフトウェアのリストを公開している。確かに現状では対応ソフトウェアは少ないが、対応予定のソフトウェアは少なくない。ここには、CorelのWordPerfectの名前もある。また、デスクトップアプリケーション以外に、コンテンツ管理システムやサーチユーティリティといったサーバーサイドアプリケーションも数多く掲載されている。さらに、日本では一太郎が対応を予定している。
このような状況から、数年後には、OpenDocumentの影響が大きくなったとしても、OpenOffice.orgの影響は相対的に下がっている可能性がある。たとえば、官公庁では、現在使っている一太郎をOpenDocument対応にして使い続けているかも知れない。
さて、最も目に付いた意見は「取引先に合わせなければならない」というものだった。私は、これを「主体的に、ファイルフォーマットを選択しない」という意味に取った。このような考え方をするユーザーは、近いうちにOpenDocumentやOpenOffice.orgに乗り換えることはないだろう。となると、主体的に考えてファイルフォーマットを採用できるのは、どこだろう。それは、自分たちでファイルフォーマットの決定権を持つ、官公庁や大企業ではないだろうか。たとえば、政府系機関やNTT系の企業でOpenDocumentを採用するということはあり得るだろう。このようなユーザーにとっては、ISO承認は重要なお墨付きになる。
大きな組織が採用を決定すれば、それに対応しなければならない企業も出てくる。彼らにとって、OpenDocument採用は、天から降ってきたような結構迷惑な話となる。OpenOffice.orgコミュニティにとって重要なのは、案外こういう企業の中に味方を育てておくことかも知れない。
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