オージス総研:オープンソースソフトウェアを利用した製品開発の現状と課題

「連載企画:オープンソースソフトウェアを利用した製品開発の現状と課題」という面白い物を見つけました。以下、PDFのリンクが多いので、開く際にはご注意ください。

この記事は、オージス総研から財団法人経済産業調査会が発行する 「特許ニュース」のNo.12942 (2011 年 3 月 10 日発行)からNo.13002 (2011 年 6 月 9 日発行)へ寄稿されたものだそうです。

一見するとですね、オープンソースのライセンスとか訴訟の一覧表とかは、よく整理されていると思います。JBossのライセンス周りの話なども面白いです。
一方で、オープンソースのことをきちんと説明する部分は少な目で、ただ不安を煽る内容に感じました。たとえば、「OSS の不安要素」という項目には次の記述があります。

二点目の不安要素は、OSS ライセンスが難解で、かつ曖昧な記述があることである。そもそもOSS の最大の利用者であるソフトウェア開発者にとっては、契約書の文面であるOSS ライセンスは馴染みが薄いものであり、取っ付きにくいものである(と言っていては、OSS を利用する権利がないとお叱りの声を受けるかも知れないが)。ほとんどの OSS ライセンスが英文で書かれており、契約書でよく使用される特別な用語も多く、長文が多い。
第1回:OSS利用実態とソフトウェア開発者にとっての著作権上の課題(PDF)

契約書の文面になじみが薄いから不安だ、ということですが、OSSに限らずソフトウェアライセンスや契約書をチェックしない企業はコンプライアンス的にどうなんでしょう? それは、ソフトウェア開発者個人に帰せるべき問題ですかね。
また、OSSライセンスは長文が多い、ということですが、MITライセンスを紹介せずGPLV2を取り上げるのは如何なもんでしょう。
“と言っていては、OSS を利用する権利がないとお叱りの声を受けるかも知れないが”と書いているけれど、OSS全体を利用したり利用を許可する権利などというものは存在せず、個々のソフトウェアごとに利用許諾を得るだけなので、誰もお叱りなんかしないと思います。つーか、OSSを利用する権利がないとか言う前に、そもそもソフトウェアの利用についての基本がなっちょらんのではないかい?
随分、精度の低い文章のように見受けられますし、わざとこうしているんだとしたら、情報格差を利用するブラック商法の典型のような気がするんだが。

ちなみに、この文章を公開しているのは、以下ですか・・・