日本語キーボードの歴史 その4

PC-9801が登場した頃から、
日本語が表示できるようになりました。
でも、どうやって入力するかは別問題です。
PC-9801の場合は、マニュアルに漢字の一覧表が載っていて
それを見ながら文字コードを直接入力していました。
「阿」と表示させるには、
“88A2″と人間が入力していたのです。
これでは実用になりません。

そこで、現在の日本語入力とよく似た
日本語変換機能が開発されました。
ローマ字かカナを入力すると、
漢字に変換してくれました。

 

ただし、はじめの頃は
アプリケーションの一部になっていました。
日本語変換が、ワープロや表計算ソフトの一部だったのです。
そのために、日本語変換の操作が
アプリケーションごとに異なっていました。
ワープロと表計算で、入力方法が違っていたのです。

そこへ登場したのが
ワープロソフト一太郎です。
一太郎では、日本語入力機能が本体から独立していたので
他のソフトでも、それを利用できました。
つまり、どんなアプリケーションでも
同じ操作で日本語が入力できたのです。

この一太郎の日本語入力ソフトが、
ATOK(エートック)でした。
ATOKの操作方法は、現在の日本語変換機能とほぼ同じです。

このとき登場した「日本語入力」の操作が、
現在も引き継がれています。
そのため、この日本語入力を覚えた人は
ずーっと同じ方法で済んできたのです。
新しい方法が提案されても
それを苦労して覚えるより、
今までの方法を使い続ける方が簡単だったからです。

人間は、いちど覚えた方法は、
なかなか変えたくありませんよネ。
だから、パソコンの性能が上がっても
日本語の入力方法は、ほとんど変わりませんでした。
もしも変えていたら、今までパソコンを使っていたユーザーから
たくさんのクレームが寄せられたでしょう。

多分、これからもそれは同じでしょう。
今、キーボードの使い方を覚えてしまえば
もう新しい方法を覚える必要はないのです。