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はじめに

 OpenOffice.orgは、フリーの統合オフィスソフトです。
 正式名称は「OpenOffice.org 1.0(オープンオフィス・ドット・オルグ)」。名前のお尻に「.org」と付いていますが、これはホームページのアドレスでもあり、このソフトを開発している組織の名前でもあります。紛らわしいので、特にソフト名を指すときは「OpenOffice.org 1.0」と後ろにバージョン番号を付けることになっています。本書で「OpenOffice.org」と言うときには、基本的にソフト名として扱っています。
 OpenOffice.orgの一番の特徴は「オープンソースで開発されたフリーソフト」ということです。これは、「誰でも自由にコピーして使うことができ、しかも無料で入手できる」ということです。「フリーの統合オフィスソフト」と言ったときの「フリー」には、「自由」と「無料」という2重の意味が込められているわけです。
 フリーソフトだからと言って、決してばかにはできません。OpenOffice.orgはMicrosoft Officeに負けないくらい高性能なオフィスソフトです。しかもすでにWindows版とLinux版とがあり、Macintosh版も開発中です。使用される環境が異なっていても、同じOpenOffice.org同士なら100%問題なくファイルをやりとりすることができます。
 これだけのソフトが無料で手に入るとしたら──それがどれだけ衝撃的なことか想像できるでしょうか。OpenOffice.orgは、まさにオフィスソフトのあり方を劇的に変えるかもしれないソフトウェアなのです。

 

[Microsoft Officeのファイルも読み書きできる]

「いくらフリーだからと言って、簡単には乗り換えられないよ。会社の同僚や友達と違うソフトを使っていたら文書ファイルをやりとりできなくなるし……」
 そう思われる人もいるかもしれませんが、この点はそれほど心配しなくても大丈夫でしょう。OpenOffice.orgは、Microsoft Officeのファイルを読み書きすることができます。会社のMicrosoft Officeで作った文書ファイルを、自宅のOpenOffice.orgで読み込む、ということもできるわけです。
 もちろん、高性能で多機能で独自の機能が満載のオフィスソフト同士のことですから、さすがに100%の互換性が実現できているわけではありません。採点するなら、現時点で80点といったところです。しかし、日常的な使い方をする分には、ほとんど問題のないレベルです。詳しくは本文で触れていますが、WordやExcelを使って簡単な作業しかしていないのなら、困ることはほとんどないでしょう。

[本書の制作にあたって心懸けたこと]

 本書は、WordやExcelならそこそこ使ってきたという、ごく一般的なパソコンユーザーを対象としたOpenOffice.org 1.0の解説書です。
 OpenOffice.orgは、フリーのオンラインソフトですから、インターネットでダウンロードしたり、パソコン雑誌や本書のような解説書のCD-ROMから入手するのが一般的です。そのため、マニュアルが付属しません。そこで、マニュアルがわりになって、しかもOpenOffice.orgがどんなソフトなのかよくわかる本を作ろうと言うのが本書の出発点でした。多機能なオフィスソフトですから、とても全ての機能は説明しきれていませんが、普通のユーザーが不自由しないだけの機能はきちんと解説しています。
 ワープロや表計算は、すでに完成されつつあるジャンルなので、どのソフトも使い方に大差はありません。とは言え、Microsoft Officeしか使ったことのない人にとって、異なるオフィスソフトを使うと言うことは未知の体験です。ちょっとした操作や機能の違いに戸惑うこともあるでしょう。本書では、そういう人でもすんなりとOpenOffice.orgを使い始めることができるように、OpenOffice.orgならではの機能やMicrosoft Officeとのちょっとした違いまできちんと触れています。
 さらに本書では、OpenOffice.orgが生まれた土壌である「オープンソース」という考え方について詳しく説明しています。冒頭にもあるとおり、OpenOffice.orgはオープンソースというスタイルのもとで開発されたフリーソフトです。Microsoft Officeなど一般的な商用ソフトウェアとは、いろいろな面で違います。ただ無料で使えるだけではないのです。おそらく、OpenOffice.orgを使う人の中には、オープンソースで開発されたソフトウェアを使うのは初めてという人も多いでしょう。そこで本書では、オープンソースとは何なのか、オープンソースを利用するときに意識してほしい点についても詳しく解説しています。

 

[本書をお使いになれる環境]

 本書で取り上げているのは、Windows版のOpenOffice.orgです。本書の付録CD-ROMに収録されているWindows版のOpenOffice.org 1.0.1は、Windows 98、98SE、Me、2000、XPで使うことができます。操作は、Windows XPのものを使用しています。
 一般のパッケージソフトの場合、新しいバージョンが発表されるまでには最低でも1年ほど間を置きますが、OpenOffice.orgの場合は数ヶ月という単位でこまめにバージョンアップしていきます。ただしこれは、「細かな修正点をこまめに反映させていく」ということなので、現在の最新版であるOpenOffice.org 1.0.1が数ヶ月後に「1.0.2」になり、さらに「1.1」になったとしても、本書で取り上げている内容と大きく食い違うことはありません。小数点以下のバージョンの変更については、本書でも充分対応することができます。
 本書の付録CD-ROMにはLinux版のOpenOffice.org 1.0.1も収録されています。ただしこれはあくまで「オマケ」で、インストール方法をはじめ具体的な使い方は解説していません。インストールをした後の使い方に関しては、Windows版もLinux版もほとんど変わりませんから、本書でも参考にして頂けます。

 

[本書の構成]

 本書の構成は、次のようになっています。

第1章 OpenOffice.orgを始めよう
 OpenOffice.orgとはどんなソフトなのか紹介し、少し複雑なインストールの方法、日本語環境でOpenOffice.orgを使うために必要な初期設定のやり方を解説します。

第2章 ワープロ機能「Writer」の使い方
 文書作成に必要な機能はほとんど持っているOpenOffice.orgのワープロ機能、「Writer」の使い方を解説します。実際にビジネス文書を作成しながら、使い方を覚えていきましょう。Microsoft Wordと違うところも逐一紹介しています。なお、各機能の解説で使用した作例のデータも、付録CD-ROMに収録しています。これは他の機能の解説についても同様です。

第3章 表計算機能「Calc」の使い方
 単純な表計算からグラフの作成、データベースとの連係まで、用途の広い表計算ソフト「Calc」の使い方を解説します。

第4章 その他の機能ともっと便利な使い方
 プレゼンテーション機能「Impress」や図形描画機能「Draw」の使い方、WriterやCalcをデータベースと連係させる方法、複数の機能を組み合わせて使う方法など、さらに進んだOpenOffice.orgの活用のしかたを解説します。

第5章 Microsoft OfficeとOpenOffice.orgの互換性
 ユーザーにとっては最も気になるMicrosoft Officeとの機能の違い、ファイル交換の注意点についてまとめて解説します。

第6章 OpenOffice.orgが生まれた背景とオープンソースという考え方
 OpenOffice.orgはどういう経緯で生まれたのか。どうしてこれだけのソフトが無料なのか。いまひとつ得体の知れないOpenOffice.orgのことをもっとよく理解しましょう。特に、オープンソースとOpenOffice.org日本ユーザー会の活動については詳しく説明します。

第7章 付録CD-ROMの使い方
 付録CD-ROMに収録した日本語フォントやクリップアートなどの使い方を解説します。

 困ったときには、OpenOffice.org日本ユーザー会が手助けします。私もそこに参加しています。そして、OpenOffice.orgが気に入ったなら、このユーザー会にも参加してください。あなたの手助けがあれば、OpenOffice.orgはもっと良いものになるでしょう。
 本書の執筆にあたっては、OpenOffice.org日本ユーザー会の皆様のご意見・情報を参考にさせて頂きました。この場を借りて御礼申し上げます。

2002年9月
可知 豊