まえがき

はじめに

本書は、オープンソースソフトウェア(以下、OSS)の利用許諾(ソフトウェアライセンス)、いわゆる「オープンソースライセンス」についての解説書です。著作権やソフトウェアライセンスの基礎知識や、オープンソースライセンスの利用条件に従う方法など、OSSを活用する上で必要となる情報を、分かりやすく具体的に解説します。

コンピュータ技術は、数十年にわたって進化を続けてきました。そして今では、ソフトウェアの利用範囲も大きく広がり、社会の様相をすっかり変えてしまいました。その一方で、必要とされる膨大なソフトウェアを供給するため、ソフトウェア開発の生産性向上が極めて重要な課題となってきました。さらには、ソフトウェアの社会的な重要性が増した分、事業やサービスの継続性確保のためには、ソフトウェアの持続的な開発体制が不可欠だと考える人たちもいます。

このような状況で登場したOSSは、ソフトウェア開発の生産性とコストの面で、大きな存在感を示しています。東京証券取引所の大規模取引システムから、ケータイ電話の組込みソフトウェアまで、OSSの活躍は幅広い領域に及んでいます。ソフトウェアを開発する場合、OS・開発ツール・各種ライブラリやフレームワークなど、多くの種類のOSSが使われています。

OSSを利用する上で不可欠なのが、OSSの利用許諾条件を定めた「オープンソースライセンス」です。企業のコンプライアンスが重要視される今日、ソフトウェアを開発する人だけでなく、IT企業の経営者層・営業部門・サポート部門、そしてマネージャーおよびユーザー企業にとっても必須知識のひとつと言えるでしょう。

本書の対象読者は、ソフトウェア開発者(含む学生)とIT企業およびユーザー企業の方々です。これまで登場した多くのオープンソースの解説では、法律用語とソフトウェア開発の用語が数多く登場してきました。そのために、オープンソースが分かりにくく、扱い難いものという印象を与えていました。

そこで本書では、著作権やソフトウェアライセンスに関連する用語と、ソフトウェア開発の理解に必要な基本的な考え方を、できる限り平易に説明しています。ソフトウェア開発者にとっては、法律用語について理解が進むでしょうし、IT企業およびユーザー企業のマネージメント層や一般社員の方々にとっては、法律用語とソフトウェア開発用語の両方でオープンソースの理解が進むと思います。

なお、本書は、2008年にソフトバンククリエイティブから出版された「ソフトウェアライセンスの基礎知識」を、加筆改訂して電子書籍化したものです。ライセンスの話題に集中するために、Chapter4「自由な利用とビジネス」を割愛しました。

本書が、読者の皆様のお役に立ち、企業やソフトウェア開発者と、オープンソースコミュニティとの連携の一助になれば幸いです。

2011年11月 筆者

※重要

筆者は、2002年からオープンソースのライセンスならびにコミュニティ活動について独自に調査し、その成果を公開してきました。本書の内容についても、できる限り誤りのないよう、内容には十分に注意しています。また、多くの方々のご意見を参考にして、より正確な情報を提供するように務めています。

しかし、筆者は法律およびソフトウェア開発の専門家ではなく、本書の内容には、記述や解釈に間違いが含まれている可能性があります。実際に、オープンソースを活用する際には、可能な限り法務の専門家などに相談することをお薦めします。

何より、利用したいOSSのライセンスをきちんと読みましょう。

本書のアップデート情報やサポート情報は、筆者の下記Webサイトにて提供しています。今後も、可能な限り良いものにしていきたいと考えています。誤記に関する指摘や、表現に関する疑問などありましたら、遠慮なくお寄せ下さい。

本書に掲載した下記の内容は、クリエイティブコモンズのもとでWebにて公開しています。

なお、本文中に記載されている製品・ソフトウェアの名称は、関係各社の商標または登録商標となっている場合があります。

謝辞

オープンソースライセンスの解説文を書くことを最初に薦めてくれた、毎日コミュニケーションズ(現、株式会社マイナビ)の西田氏に感謝します。あなたの強力な押しが、すべての始まりでした。

オープンソースライセンス単独の解説書を出すことを薦めてくれた、ソフトバンククリエイティブの白川氏に感謝します。ふつう、そんな逆バリはしませんて。

筆者がこれまで公開してきた、オープンソースとライセンス関連の文書について、フィードバックを寄せてくれた方々に感謝します。皆さんのおかげで、情報の品質と分かりやすさが格段に向上しました。コミュニティの力を心の底から感じることができました。突っ込まれにくい文章の書き方も学びました(まだまだですが)。

なにより、達人出版会の高橋征義氏、ならびに本書のαテストにご協力いただいた皆さんに感謝します。

なお、本書の内容に関する責任は、筆者にあります。

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まえがき」への1件のフィードバック

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