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みんな大好きjQueryのライセンスを地道にチェックしてみた

Finger face with a question

ご存知、Webブラウザ用の軽量なJavaScriptライブラリ「jQuery」(ジェイクエリー)。これを使うと、ウェブブラウザ用のJavaScriptコードをより容易に記述できるようになります。

このjQuery、オープンソースソフトウェア(OSS)として提供されていますが、ライセンスを確認したことがありますか?そして、それをどんなふうに確認しましたか?

先日、「自作ソースコードに、MITライセンスを適用する3つのやり方」という記事を書いたところ、けっこう多くの人に読んで頂けました。ライセンスの適用方法が、よく分からないという人が、まだまだいるってことだと思いますが、これって、そもそもOSSのライセンスがどのように適用されているか、きちんと実例を見ていない可能性が高いんじゃないかと考えました。そこで、今回は、jQueryを題材にライセンスの確認方法を解説します。

手間のかからない方法からはじめて、徐々にややこしい方法を紹介していきます。

どんなふうにチェックするのか、実際にやってみれば、OSSを使うときにも、気楽にチェックするようになりますし、自作OSSにライセンスを適用するときにも役に立つでしょう。
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自作ソースコードに、MITライセンスを適用する3つのやり方

MIT -1

自分の作ったソフトウェアをオープンソースとして公開する。まだまだ敷居が高いようです。人気のソースコード共有サービスGithubも、無償で使う場合にはソースコードをオープンソースにする必要があるのですが、「GitHub 上で公開されているソースコードの半分はライセンス的に問題あり」という話もあるくらいです。

では、なぜオープンソースライセンスが、なかなか適用されないのでしょうか。

その理由としては、

  1. オープンソースにしたくない
  2. オープンソースライセンスの適用方法が分からない

といったことが考えられますが、前者は、Githubの利用条件に合わないので、そもそも無理があります。

さて、後者の「ライセンスの適用方法が分からない」ですが、前回、Githubのライセンス解説サイトを取り上げた時も、「ライセンスが分からない、めんどう」といったコメントが、いくつか見受けられました。ですから、ライセンス適用の方法が分からないという人は、けっこういるのではないかと思います。

実はコレ、それほどむずかしくありません。とくに、ライセンス文が短いMITライセンスは、その条件も適用方法も簡単です。

そこで、本記事では、MITライセンスの適用方法をいくつかのケースに分けて説明します。

もちろん、ライセンス適用については、いろいろなスタイルがありますし、この方法だけが正解ではありませんが、とりあえずの参考になると思います。お気づきの点があれば、アドバイスを頂ければ、大変助かります。

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Githubによる、オープンソースライセンスの選び方

hub on wheels start

「オープンソースライセンスは、分かりにくい。」
まだまだ、このように感じているソフトウェア開発者が多いようです。
たしかに、オープンソースライセンスをお手軽に解説した記事は、かなり人気があります。

ソースコード共有サービスとして人気のGithubの利用者にとっても、これは例外ではないようです。

Githubでは、オープンソースプロジェクトには、無償でレポジトリを提供していますが、「GitHub 上で公開されているソースコードの半分はライセンス的に問題あり」と指摘されていました。公開リポジトリの多くに、ライセンス文が設定されていなかったのです。ライセンスが設定されていないソースコードは、著作権者の明示的な許可が得られていないので、自由に複製・配布・改変できません。

そこで、ここでは、2013年7月にGithubが設置したライセンス選択サイト「Choosing an OSS license doesn’t need to be scary」(OSSのライセンス選択は、怖くない。以下、同サイト)について解説します。

Githubは使ってないけど、オープンソースライセンスの概略を知りたい人にも、役立つかも知れません。

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定番オンラインソフトのオープンソース化 - バイナリエディターBinary Editor BZ

Binary Birthday

「Binary Editor BZ」は、あらゆるファイルを16進表記で表示・編集できる多機能バイナリエディタです。

Binary Editor BZは、シンプルなテキストエディタとして知られるVZ Editorの兵藤 嘉彦(c.mos)氏が開発していたが、そのソースコードの提供を受けたtamachan氏が改良版を修正BSDライセンスで公開した。

このような定番オンラインソフトのオープンソース化は、とてもうれしい。ユーザーとして、ソースコードが自由に利用できるようになって、開発プロジェクトが継続していくのは、とてもありがたい(関係者の皆さん、ありがとう)。開発者にとっても、継続的なサポートに対する負担が減って、現在興味を持っている事柄に取り組めれば良いですね。

こういうケースが増えてきたのも、以前に比べるとオープンソースが定着してきた証拠のひとつなのかな、と思ったり。


定番オンラインソフトのオープンソース化 - EmacsライクなWindows用テキストエディタxyzzy

Typewriter

xyzzyは、カスタマイズ可能で軽快なWindows用テキストエディタです(それ以外の機能もいろいろついています)。 亀井哲弥氏 よって開発されたEmacsライクなテキストエディタで、Common Lispにほぼ準拠した言語で拡張可能です。

知る人ぞ知るソフトウェアかも知れませんが、個人的にも愛用しています。


定番オンラインソフトのオープンソース化 - FTPクライアントFFFTP

Bench of FTP

パソコンで何かをやるとき、オンラインソフトのお世話になることは多い。わざわざ購入するまでもない比較的シンプルなソフトウェアをネット経由で入手する「オンラインソフト」は、パソコンを使う上で、なくてはならない存在です。

このようなオンラインソフトは、作者自身が必要とするソフトを開発し、それを無償で公開している場合が少なくありません。それが、近ごろオープンソースになり、オープンソースプロジェクトとして、有志による開発に移行するケースが増えてきました。

そこで、このような「定番オンラインソフトのオープンソース化」事例をいくつか紹介していきます。

まずは、ネット経由のファイル転送ソフトの決定版「FFFTP」。Webサイトを立ち上げるとき、サーバーへファイルを転送するといった場面で、よく使われています。

1997年に曽田純(Sota)氏が開発・公開したもので、2002年には、オンラインソフトウェア大賞を受賞するなど、人気を集めました。2008年には、曽田氏によるサポートが中断されていましたが、不正プログラムがFFFTPを悪用する例が増えており、断続的にアップデートが行われてきました。

FFFTPのソースコードは、もともと修正BSDライセンスで公開されていましたが、2011年に曽田氏がFFFTPの開発終了を宣言。開発は、有志によりSourceForge.JP上で継続することになったのです。


オープンソースライセンス文書を自動生成する3つの方法

Generators inside the Hoover Dam

自作のソフトウェアをOSSとして公開するとき、けっこう面倒なのがライセンス文書の用意です。そこで、ライセンス文書を自動生成する方法が公開されました。Moongiftに解説が載っていますが、コマンドラインツールみたいですね。

ぐぐってみたら、オープンソースだけではないけれど、ライセンスジェネレータというWebサービスもありました。必要事項を入力すると、ライセンス文書を生成してくれます。

さらに、意地悪MITライセンスのgeneratorなんてものもありました。これは、ほとんどMITライセンスだけど、特定の個人だけ利用禁止とするMITライセンスです。

自分のソフトウェアをオープンソースにするときは、まずは、ほかのOSSがどんなふうにライセンスを設定しているか、調べてみるのがいいと思います。ライセンス文書をどこにおいているかとかね。OSSのソースコードを読んだことがある人なら、目にしているはずなんだけど、自分でやろうとすると、けっこう見落としがちなポイントもあったりするので。


MeCabのライセンス変更事例

Seaweed Attack!! By seanmcgrath CC BY 2.0

オープンソースライセンスは、条件がそろえば変更することができます。そのひとつが、著作権者(の全員)が同意した場合。古い事例ですが、MeCabの例を紹介しましょう。

MeCab: Yet Another Part-of-Speech and Morphological Analyzerは 京都大学情報学研究科と日本電信電話株式会社コミュニケーション科学基礎研究所の共同研究ユニットプロジェクトを通じて開発されたオープンソース形態素解析エンジン。言語・辞書・コーパスに依存しないよう汎用的に設計されています。

形態素解析とは、たとえば「日本テレビ東京」といった文字列を「日本」「テレビ」「東京」といった人間にとって意味のある文字要素に分割するツール。日本語変換ツールや、Webサイトの文章解析などに利用されます。

このMeCabは、2006年7月リリースのバージョン0.93から、ライセンスをLGPLからBSD,LGPL,GPLのトリプルライセンスに変更されました。これは、アップルをはじめとする複数の方から要請を受けてのことだという。その結果、iPhoneやMac OS Xなどにも利用されているそうです。

その後、アップルがiPhoneなどで、アプリケーションを配布/販売するのAppStoreがクローズドな方向に転換したとき、MeCabの開発者から、ちょっと批判的なコメントが出ました。

まあ、アップルの方針転換で、MeCab自体がクローズドになってしまったわけではありませんし。いまでも、アップルは自社に役立つオープンソースソフトウェアの開発/支援をしていたりするのですが・・・。


フォトショのソースコードが公開(ただし、Ver1.0.1)

Canora Photo

歴史的遺産として、フォトショップ ver1.0.1のソースコードが公開されました。オープンソースではなく、「COMPUTER HISTORY MUSEUM SOFTWARE LICENSE AGREEMENT」で公開されています。

Adobe Photoshop – Wikipediaによると、

1987年、当時ミシガン大学の学生であったトーマス・ノールが Macintosh Plus 向けにグレースケールの画像を扱うソフトウェアを開発した。これに惹かれたインダストリアル・ライト&マジックの画像編集部門の社員であり、トーマスの弟でもあるジョン・ノールが開発に参加し、ImagePro として完成させた。後にこれをアップルコンピュータとアドビの社員に見せ、1988年9月にアドビがライセンスと販売権の取得を決定し[1]、1990年に最初のバージョンである Photoshop 1.0 が発売された。

ということだそうです。

当時は、Macは白黒だったんですよね。今となっては、同様の機能をもったオンラインソフト/オープンソースソフトウェアはたくさんありますが、たしかに歴史的な存在です。ちなみに、インダストリアル・ライト&マジック – Wikipedia(ILM)は、ルーカスフィルムの特撮部門で、スターウォーズやインディ・ジョーンズなどの特殊撮影を手がけていることで有名です。

ライセンスは、ざっとながめた感じだと、改変可・再配布不可みたいです。


AGPL3の解説とSaaSの自由

Rich and Poor Serving Inequality by epSos.de CC BY 2.0

GNUプロジェクトのWebサイトにAGPL3の簡単な解説(の日本語訳)が掲載されました。

AGPL3は、GPL系ライセンスのひとつです。AGPLの役割は、ネット時代に対応したもので、この解説では、そのあたりを分かりやすく解説しています。AGPL3の詳細は、こちら。

さて、冒頭の解説文では、SaaS利用の問題はAGPL3では解決されないと説明しています。自分のデータが、どのようにサーバーでコントロールされるか分からないからです。リチャード・ストールマンは、このあたりの危険性について、以前から警告しています。

ソフトウェアライセンスは、あくまでソフトウェアの利用条件であり、Webサービスの運用規約ではありませんから、これは至極当たり前の話です。とはいえ、フリーソフトウェアの考え方は運用規約をどのように変えるのでしょうか。