書評:シーモア・パパートのマインドストームを読んでみた

Mini-Meeresschildkröte (Turtle)

シーモア・パパートの「マインドストーム―子供、コンピューター、そして強力なアイデア」という本を読んでみた。

プログラミング学習がブームだったり、自分でも興味を持ったりしているので、古典とも言える本書を手に取ることにした。
子供たちの学習にコンピュータを活用しようとしてきたシーモア・パパートの考えを分かりやすく説明している。

英語版は1980年、日本語版の初版は1982年に出版された。
タートルグラフィックでお馴染み、ScratchとSmalltalkの先祖のプログラミング言語LOGOは、この人が作った。
レゴを操縦するコンピュータは、この本のタイトルが元ネタになっている。

以下は書評というより、ざっくり読んでみた感想的なメモ。

とにかく、非常に刺激的で面白かった。プログラミング学習に興味がある人は、読んでおいた方がいい。この古い本の中で語られているアイデアや理想が、ScratchとかCodeDojoで、ようやく実現しているということが良くわかる。

LOGOが扱っているのはプログラミング学習では無い。だから、Scratchもそこをターゲットにしていないんだなー。

途中でマービン・ミンスキーの「心の社会」が出てきて驚いた。学習カリキュラムとか西洋の学問は大聖堂のような印象を持っているんだけれど、それと比較すると「マインドストーム」や「心の社会」はバザールモデルみたいだなー、と思った。

ちなみに、Wikipediaによると、プログラミング言語LOGOは1967年に開発されている。タートルグラフィックの描画プログラムをLOGOと呼ぶわけではない。

とかく、教育とか学校とか、専門家から素人まで誰でも語れるんだけど、そのとき思い浮かべるイメージは、個々人の経験にものすごく縛られているんだなーとあらためて思った(自分も含めて)。この本が出て30年以上たっているわけで、その成果や効果を実際にぜひこの目で見てみたい。それにはどうすればいいのだろうか。

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