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AGPL3の解説とSaaSの自由

Rich and Poor Serving Inequality by epSos.de CC BY 2.0

GNUプロジェクトのWebサイトにAGPL3の簡単な解説(の日本語訳)が掲載されました。

AGPL3は、GPL系ライセンスのひとつです。AGPLの役割は、ネット時代に対応したもので、この解説では、そのあたりを分かりやすく解説しています。AGPL3の詳細は、こちら。

さて、冒頭の解説文では、SaaS利用の問題はAGPL3では解決されないと説明しています。自分のデータが、どのようにサーバーでコントロールされるか分からないからです。リチャード・ストールマンは、このあたりの危険性について、以前から警告しています。

ソフトウェアライセンスは、あくまでソフトウェアの利用条件であり、Webサービスの運用規約ではありませんから、これは至極当たり前の話です。とはいえ、フリーソフトウェアの考え方は運用規約をどのように変えるのでしょうか。


NYSL:煮るなり焼くなり好きにしろライセンス

choose bolis or burns if you like.

by phalinn CC BY 2.0

WTFPLに関連して指摘があったので、もうひとつ、条件のゆるいライセンスとして、NYSLを紹介しよう。これは、「煮るなり焼くなり好きにしろライセンス」の略称で、k.inaba氏により作成された。

NYSLのもとで公開されたソースコードは、

  • 自由に改変できる
  • 無保証
  • 著作権表示の義務なし

という特徴を持つ。とくに、最後の項で著作権表示は不必要としているので、修正BSDライセンスよりも、すこしゆるい条件になっている。ライセンス文書自体は、CreativeCommmons 0 1.0 Universal(パブリックドメイン)のもとで公開されている。

英語版もあるので、グローバルに広がると面白そうですね。


WTFPL:「やりたいことヤリやがれ」パブリックライセンス

Do What The Fuck You Want

by tangi_bertin CC BY 2.0

たまには、ちょっと変わったオープンソースライセンスを紹介してみましょう。すでに、一部の人たちには知られているライセンスですが。

WTFPL (Do What The Fuck You Want To Public License)は、きわめて条件のゆるいオープンソースライセンス。Wikipediaによると「英語としても非常に下品な名称のライセンス」。「好きなように使え」という以外に、とくに条件をもたない。多くのオープンソースライセンスが備える、「著作権表示を残すこと」「無保証であること」「ライセンス文書を同梱する」といった条件もない。

実際に、これが採用されているソフトウェアがいくつか存在している。

MITライセンス以上にゆるいWTFPLは、ライセンスを考えるのなんてメンドクセーというOSS開発者に、ぴったりのオープンソースライセンスだ。


WordPressテーマに関する、ライセンスとコミュニティポリシー

Twins.
by miggslives CC BY 2.0

WordPressの情報サイトであるWP-Dに、5分で分かる WordCamp/ThemeForest GPL 論争の流れという記事が投稿されました。ThemeForest というサイトでテーマ販売をしていた開発者が WordCamp のスピーカーや運営者としての参加を断られたという出来事を発端に、WordPressテーマのライセンスに関する議論が再燃しているそうです。WP-Dでの投稿では、この出来事に関連して、WordPressテーマのライセンスについて、あらためて分かりやすく解説しています。

さて、私が思うに、この件を理解するポイントは、次の二つを区別することにあると思います。
それは、「WordPressテーマの利用条件(ライセンス)」と「コミュニティサービスの参加ポリシー」です。

WordPressテーマは、WordpPressの一部なのでライセンスは、そのPHPコード部分にGPL系ライセンス(GPL2またはそれ以降)が必ず適用されます。この記事では、PHPコード部分を分けてライセンスを適用することを「スプリットライセンス」(分離ライセンス)と呼んでいますね。

いっぽう、 WordCampというイベントは、コミュニティに向けてサービスです。このようなコミュニティサービスは、利用条件とは
別のルールで提供することできます。今回は、「スプリットライセンス」を許容しないイベントということですね。

コミュニティ活動にどんな思想を盛り込むか、その結果としてどんな人たちが集まってくるのか、今後の展開が気になります。


「GPL系ライセンス」とか「GPLと互換性のあるライセンス」とか「GPLv2またはそれ以降」って何だ!?

以下、おれが間違っていたら、誰か指摘してくれるとウレシイ。

オープンソースのライセンスというとGPLが一番有名だけど、じつはオープンソースライセンスには、たくさんの種類がある。そのうちのいくつかをまとめて、たとえば「GPL系ライセンス」とか「GPLと互換性のあるライセンス」とか「GPLv2またはそれ以降」とか呼んだりして、とてもややこしい。GPL系ではないライセンスもあって、「修正BSDライセンス」とか「MITライセンス」とか「Apacheライセンス」とか、こちらも幅広く使われているので、もっとややこしい。

ひとくちに、オープンソースライセンスといっても、その種類によって、使い方に細かな違いがあるんだ。

さて、あるOSSがあって、「GPLv2またはそれ以降」で再配布または改変できるとなっている。だから、このOSSの派生物は「GPLv2またはそれ以降」でライセンスしなくちゃいけない。それを「”GPLと互換性のあるライセンス”でOK」といったら、大きな誤解をまねくと思うんだ。

ここでは、なぜ大きな誤解をまねくのか、ちゃんと説明してみたい。

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インタラクションデザインにおけるオープンソース及びライセンスの役割

Creative Commons Japan, 弁護士の水野 祐が、慶応義塾大学SFCの「インタラクション(デザイン戦略)」(筧康明、Mozilla Japan)の講義で使用したスライドです。オープンソースというよりクリエイティブ・コモンズを中心に、分かりやすく解説しています。


Wikipediaのライセンス追加(GFDL+CC-BY-SA)

はなはだ旧聞ですが、Wikipediaのライセンス追加について、関連リンクをまとめておきます。

2009年6月15日から、ウィキペディア日本語版を含むウィキメディアのプロジェクトは、従来のGFDLに加えてCC-BY-SAでも利用可能となっています。