Oh! PaintShopPro

フォトレタッチの基本

デジタルカメラの普及とともにフォトレタッチソフトが俄然注目を集めてきました。 
特にデジカメの高画質化は著しく、インターネットの普及とともにホームページ素材に利用するという用途もあってデジカメは急速に普及しています。それとともにフォトレタッチソフトも急速に普及しています。それはデジカメで撮った写真がそのままではちょっとイマイチだったりすることが多いからです。

デジカメで撮った画像の失敗例として 
  1.暗すぎる(露出アンダー)、明るすぎる(露出オーバー) 
  2.室内で撮った場合などに多い色かぶり、特に青みがかる 
  3.色がパッとしない 
が結構な頻度であります。デジカメと言えどもカメラですからね。 

また、デジカメ写真はパソコンで加工しやすいために人気があります。 
特に 
  1.写真の合成 
  2.飾り文字の挿入 
  3.トリミング 
等の処理は家庭でも気軽にできる画像処理で年賀状等にも利用できるためにフォトレタッチソフトの人気は高まっています。


○より美しい写真に仕上げる

PSP6J・7Jは有名なプロ用高機能ソフトPhotoShopに匹敵する画像補正の機能がそろっています。        
機能が豊富で、画像の補正に対してのアプローチの仕方もさまざまです。しかしどの機能を使っても同じ効果が得られるとは限りません。        
「いかに高画質で見栄えのする写真に仕上げるか」、そのための画像補正の基本をご紹介します。


 

○高画質な写真とは?

高画質な写真と言うのは基本的に
  ・階調が豊富である。デジタル画像は0〜255の階調があるがその階調をフルに使いきっている。後述するヒストグラムで言うと左から右までグラフが覆っている画像である。        
 ・階調が滑らかである。階調が連続していることで、ヒストグラムで言うとギザギザや隙間のない画像のことである。
 ・色が正確である。

この3つです。見栄えのする画像と言うのはまた別になるので、見栄えを良くしてなおかつ高画質を保つのがフォトレタッチの基本 になります。


 

○PSPのカラーの仕組み

Paint Shop Pro は内部で 赤(R)256階調、緑(G)256階調、青(B)256階調(8ビット)の画像データで色を表現します。この256階調というのは明るさを表します。0が最も暗く、255が最も明るくなります。PSPの内部では赤、緑、青それぞれの明るさの情報がグレースケールの画像であると言う事です。 

注) これからの説明の中でグレーの階調を置きかえるなどの表現が出てきますが、本当の色としてのグレーの話ではなく、RGBチャネルのグレースケールの話しで、明度が変わると言う事です。実際には色がついているかもしれません。

256*256*256=約1677万色 表現できると言う事になります。 

ちなみにR:G:B=0:0:0は完全な黒 で R:G:B=255:255:255は完全な白です。 
 

では、Windowsの24ビットカラーってなんでしょう?コンピューターでは1ビットで2つの数字を表現できるため
24ビット=1ビット24  すなわち 24ビット=224 =約1677万ということで、Windowsの24ビットカラーと言う表現はただ単に色の数をビットと言う分かりにくい単位で表現しているだけです。 

お分かりいただけたでしょうか?とりあえず明るさには256階調ある んだな、と言う事が分かっていただけたら良いです。


1677万色フルカラー画像 

↑ 

 +  + 
       
R(赤)256階調  G(緑)256階調  B(青)256階調


 

○ヒストグラムとは?

フォトレタッチをするのならば、必ずヒストグラムは見てください。高画質に仕上げるカギがここにあります。

ヒストグラムは簡単に言えば「画像の中の明るさの分布状況を表したもの」で、写真のレタッチには必要不可欠なものです。 
R:G:B及びそれらトータルの明るさの 明度0(最も暗い)から明度255(最も明るい)までの間のそれぞれの明るさにどれだけピクセルがあるか(正確なピクセル数ではなく相対的な量)をグラフで表したものです。 
右の図をご覧下さい。
 

ヒストグラムの分かりやすいサンプルです。 

上の水平なグラデーションのサンプル画像は明度0から明度255まで均等に存在するため、ヒストグラムは左から右まで均等に分布しています。 
 

下の斜めのグラデーションのサンプル画像は、明るい部分と暗い部分が角になっているため少なく、中間の部分が対角線の広い部分にあるためピクセル数が多いのがヒストグラムを見たら一目瞭然です。左右の明度が低いところと高いところはヒストグラムのグラフが低く、真中の中間調の部分に行くにしたがってグラフが高くなっています。 

(縦にぎざぎざと上下があるのは、この画像のサイズが小さすぎるためグラデーションを正確に塗れないためです。グラデーションは256階調あるのですが画像サイズが小さすぎ256階調表現出来ないので、グラデーションを間引いているのです。それがヒストグラムに正確に表現されています。画像サイズがもっと大きければ直線で表現されます。)

ヒストグラムの仕組みをご理解頂けたでしょうか? 
ヒストグラムを見ればその写真の特徴(露出アンダーやオーバー、明るすぎる、暗すぎる等)やどの部分の階調が不足しているのかなどが一目で 正確にわかり、どの部分を補正すれば見栄えの良い写真になるかが分かります。

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もう一つヒストグラムのサンプルです。

 
綺麗に撮影できているように見えますが、ヒストグラムを見ると明らかに露出不足で暗い画像です。また、暗い部分(シャドウ)も階調が欠落しています。階調が真中に集まりコントラストが不足しています。

 
明るいほうのレベルが低いですが、ヒストグラムが全体を覆っており露出の正確なクオリティーの高い画像です。
ほとんど手を加えるところはありません。

 
見るからにクオリティーの低い画像です。シャドウ、ハイライトともに階調が不足しており、コントラストに低いメリハリのない写真です。
ここまで階調に偏りのある写真は補正はほとんど効きません。写真自体を取り直したほうがいいでしょう。

○フォトレタッチサンプル
次からの章で下のように写真を見栄え良くする方法をご紹介していきます。


レタッチ前の画像


レタッチ後の画像


 

○補正の基本

あまり極端な補正は画像を汚くするだけです。 「シンプルイズベスト」を心掛けましょう。 
また、全てにおいてプラスマイナス10%程度の補正を心掛けるようにしましょう。その範囲内で収まらない場合はその写真のクオリティーがもともと低いということです。できれば写真自体を撮り直しましょう。 


 

○PSP6.0においての写真の色補正

PSP6.0では調整レイヤーがサポートされました(機能的にはPhotoshopとほぼ同等ですが、使い勝手が若干悪いのが惜しまれます)。 
基本的にPSP6.0では5.0の時とは異なり色補正を調整レイヤー上で行います 。 

調整レイヤーとは
・簡単にいってしまえば色補正情報のみをもったレイヤーです。
・画像の上に調整レイヤーを重ねる事によって下の画像の色合いを変更できます。調整レイヤーの下にある全てのレイヤーにその効果は適用されます。
・調整レイヤーは何枚でも重ねる事が出来ます。様々な調整を別々の調整レイヤーで行うために後で個別に再調整が可能です。
・しかも下の元画像には一切変更を加えないため後からいくらでも変更が可能です。

カラーツールで画像の色合いを変更する場合には、必ず画像に変更が加えられます。アンドゥ(元に戻す)しないとそれはもとには戻りません。例えばRGBバランスでRを−20にして実行した後にRを+20で実行しても元の画像には戻りません。実際に写真の補正をする場合には様々な調整を行いますのでやり直しは効かず、再調整をすると画像は劣化します。 
調整レイヤーでは元画像には変更を加えないため、後からの再調整も容易で作業の効率化と同時に画像のクオリティーを高める事が出来ます。