アンシャープマスク


アンシャープマスクは非常に利用範囲の広いツールです。特に写真の補正にはなくてはならないツールです。 
使う場面としては、写真のシャープネスを上げるときですが、具体的には 
 1.写真にもう少しメリハリをつけたい時 
 2.画像サイズを印刷目的で拡大・縮小して輪郭がぼやけたものを補正する時 
 3.撮影時の若干の手ぶれ、ピンぼけの補正 
といったところです。 

同じシャープネスを上げるツールとして、シャープネスシャープネス(強)輪郭強調がありますが、これらのコマンドは写真全体に同じだけ効果を適用するため画像が荒れる事が多く、クオリティーの低い写真になりかねません。何より思っていたイメージ通りの画像に仕上がらないため、使いにくいなぁと思われている方も多いと思います。 

そこで登場するのがアンシャープマスクです。このツールは非常に柔軟にシャープネスをコントロールする事ができ、イメージ通りの写真に仕上げる事が可能な反面、使いこなしが難解です。これでは「シャープネスコマンドはイメージ通りにならないけど、アンシャープマスクは難しくて使えない」、ということで画像をシャープにする作業を止めてしまうことにもなりかねません。画像をシャープにするという作業は写真のクオリティーを高めるために必要な作業ですので、是非アンシャープマスクをマスターしてください。
ちなみに、アンシャープマスクと言う名前は銀塩写真の世界でシャープネスを上げるために逆にボケた写真「ボケマスク(アンシャープマスク)」を使うことに由来します。



 

○アンシャープマスクの各パラメーターの意味
実際に各パラメーターを変化させてみてそのパラメーターの意味を確認してみましょう。 
サンプルとして下の画像を使います。その横にあるのが部分的な拡大図です。 


サンプル画像



○他のツールの効果

オリジナル画像 

 

シャープネス

シャープネス(強)

輪郭強調 

                     
いかがでしょうか?
どのツールも境界線に白と黒のハイライトが入って画像をシャープに見せます。
また、どのツールもすべての境界線に効果が適用されています。


 

○アンシャープマスク 「半径」の効果

基本パラメーターとして 半径1、強さ100、クリッピング1を基準とします
半径はシャープにするために入れるハイライトの半径を指定します。

オリジナル画像 

 
 

 半径1 

半径3

半径15

 

ごらんのように半径を大きくすると境界線に入れるハイライトの半径が大きくなりよりシャープネスが強くかかります。しかし大きすぎると逆に細かい部分がつぶれて見た目の解像感は悪くなります。
最適な数値は画像の大きさによって調節しますが、0.5〜2程度でしょう。
ちなみに本当は半径とは銀塩写真の世界で使うボケマスクをどれだけぼかすかと言う数値です。


 

○アンシャープマスクの 強さの効果

基本パラメーターとして 半径1、強さ100、クリッピング1を基準とします。 
強さはシャープネスを高めるために入れるハイライトの濃さを調節します。

オリジナル画像 

 
 

強さ50

強さ100

強さ500

正確にはボケマスクの濃度の事ですが、PSPでは入れるハイライトの濃さになります。強さの数値が大きいと境界線に入るハイライトがより白く、黒い部分はより黒くなり境界線がくっきり見えます。
強さが100を超えるとかなりハイライトが目立ちます。不自然なハイライトが入ると台無しですので、強さは100以下がいいでしょう。特に人物が入っている場合は、私は強さを50にしています。目の上等に不自然なハイライトが入りません。 
最適な値は画像によって 50〜100の間で探すのが良いでしょう。


 

○アンシャープマスクの クリッピングの効果

基本パラメーターとして 半径1、強さ100、クリッピング1を基準とします。
クリッピングはどの程度の明暗差があるものを輪郭とするかを指定する事によって、シャープにする輪郭(部分)を調節する事が出来ます。

オリジナル画像 

 
 

クリッピング1

クリッピング8

クリッピング12

クリッピング34

上のサンプルを見ると分かりやすいと思います。
クリッピング1では、シャープネスコマンドと一緒で画像全てに均一にハイライトをいれシャープネスにするので画像がざらつきます。ここでは、クリッピング8では、右下の四角のみ強調されていません。12では左の四角のみ、34では右下の四角のみにシャープネスがかかっています。
また、もともと明暗差の大きいところほどシャープネスがきつくかかっているように見えます。

最適な値は 3〜20程度ですが、写真によってかなり最適な値には差が出ます。特に人物では、顔などの階調の滑らかな部分にハイライトが入らずに、目やまつげなどの輪郭にハイライトが入るようにクリッピングの値を調節します。逆に風景などでは若干全体にシャープにする傾向にした方が画像が引き締まります。 
基本的には階調の滑らかな部分にはハイライトが入らないようにクリッピングの値を調節してください。


 

○WEB用画像

写真をWEBに載せるために縮小した場合は必ずアンシャープマスクをかけましょう。縮小した際に必ず輪郭がボケるためです。
 
左がオリジナル画像(1280*960)を20%に縮小したままの画像です。右が縮小後アンシャープマスクを適用した画像です。
パラメーターは 0.8/80/5 です。
縮小したままの写真が寝ぼけて見えるのに対して、アンシャープマスクをかけるとシャープでメリハリのある綺麗な写真になっています。


 

○まとめ

いかがでしょうか?アンシャープマスクの各パラメーターの意味がお分かり頂けたでしょうか?ここでご注意いただきたいのがアンシャープマスクの各パラメーターは画像によって最適な値が違うという事です。そこがクオリティーの高い写真を作れる秘訣であり、使いこなしの難しいところでもあります。 
コツとしては、アンシャープマスクをかける前に、画像を縮小表示している場合は等倍表示もしくは拡大表示しておいてからアンシャープマスクダイアログに入り、こまめにプレビューを見ながら最適な数値を探す事です。 

最適なアンシャープマスクをかけた画像は非常に印刷栄えします。是非、マスターしてください。