派生Linuxディストリビューションのライセンスは、どのように設定するのか

とある会社から、Ubuntuをベースにした派生Linuxディストリビューションは、”GPLを継承”するのか、その場合ソースコードはどこまで公開するのか、という質問を頂きました。私は、法律や契約の専門家ではありませんし、独自でディストリビュ-ションを作ったこともありませんので、どこまで信用できる情報を提供できるか不明確ですが、私見をこちらにも転載します。

2010-01-12:記事を修正

Ubuntuのライセンス

そもそもUbuntuは、GPLで配布されているでしょうか?

Ubuntu Japanese TeamのWebサイトには、ライセンスについて次のような記述があります。

Ubuntuは個人、チーム、会社といった数千を越える人々の手によって作られたコンピュータプログラムとドキュメントの集合体です。これらはお互いに異なるライセンスの上で運用されています。

http://www.ubuntulinux.jp/community/ubuntustory/licensing

つまり、「Ubuntuは、全体を丸ごと単一のライセンス(GPL)で提供してはいない」ということです。Ubuntuの中の記載も確認することをお薦めします。

なお、このライセンス説明ページを読むと、Ubuntuは独自に利用方法を再分類しているようです。これ自体はライセンスに矛盾しない範囲での再定義ということじゃないかと思います。詳しくは、Ubuntuの人とかに聞いてください。

どこかの解説記事とかで、”UbuntuはGPLで提供”と書いてあったとしたら、それは間違いのような気がします。ちなみに、Wikipedia-jaでの記述では、「GPLおよびその他のライセンス」となっています。

Ubuntu全体は、GPLだけを適用してはいないため、その派生ディストリビューションが”GPLだけを継承する”の考えるのは間違いだと思います。

Linuxディストリビューションのライセンス

ソフトウェアライセンスは、ソフトウェアごとに設定するのが基本ですよね。

ソフトウェア自体も、複数のプログラムやライブラリの寄せ集めですから、個々のプログラムのライセンスに矛盾しない形で、ソフトウェア全体に対してライセンスを設定します。個々のプログラムで、互換性のないオープンソースライセンスが適用されていた場合には、ひとつのライセンスにまとめることはできません。

一方で、Linixディストリビューションは、結局のトコロ単なる配布用ソフトウェア集に過ぎません。全体をひとつのソフトウェアと見なすことはないので、個々の収録ソフトウェアごとにライセンスは異なります。

派生ディストリビューションのライセンスの考え方

派生ディストリビューションの収録ソフトウェアは、次のように分類できると考えますが如何でしょうか。

A.親ディストリビューションと同一

B.親ディストリビューションに収録されていたものを改変

C.新規に追加

Aのライセンスは、元のままのはずです。追記:このうちGPL系ライセンスの場合は、該当ソフトウェアの配布者が、入手者にソースコードを提供可能にしておく必要があります。(GPL2の場合、第3項GPL3の場合は第6項を参照)

Bは、元ソフトウェアのライセンスから、改変後のライセンスを決定する必要があります。たとえば、GPL2またはそれ以降となっていれば、それを継承します。BSDライセンスであれば、ライセンスを自由に変更できます。

Cは、どのようなライセンスを設定するのか、追加ソフトウェアの著作権者が設定することになります。

と言うわけで、ソースコードの開示は、AでGPLの場合とBとCについて、BとCについて、ライセンスに従って適切に行えばいいんじゃないでしょうか。

Aについても、個々のライセンスに従って適切に対応する必要がありますが、それはまあ、派生ディストリビューションの元になった版のUbuntuを再公開しておくとか、まあそんな感じでしょうか。どっちにしろ結局のところ、収録ソフトの個々のライセンスに従うことになるんでしょう。

うーむ。ご参考になれば幸いです。


5 thoughts on “派生Linuxディストリビューションのライセンスは、どのように設定するのか

  1. nogajun

    ディストリビューションは編集著作物ではあるけれど、個々のソフトウェアのライセンスのほうが強いので、あえて編集著作物としてのライセンスは設定していないのではないでしょうか。
    そのため、redhatのような「商標で縛る」という手法が出てきたと思います。
    ubuntuの商標ポリシーはこのへんを見るといいかもしれないです。

    Trademark Policy | Ubuntu
    http://www.ubuntu.com/aboutus/trademarkpolicy

    もう一つ、派生ディストリとして配布するなら、GPLはソースコードの公開義務もあるので、配布するバイナリのソースをなんらかの手段で入手できる方法も確保しないといけないかと思います。

    GPLの規約が派生ディストリビューションに及ぼす憂慮すべき影響 – SourceForge.JP Magazine
    http://sourceforge.jp/magazine/06/06/30/0742252

    返信
  2. catch 投稿作成者

    nogajunさん、コメントありがとうございます。
    リンクは、とても参考になりました。

    “ディストリビューションは編集著作物ではあるけれど、個々のソフトウェアのライセンスのほうが強いので、あえて編集著作物としてのライセンスは設定していないのではないでしょうか。”

    については、いろいろな考え方があるのだと思います。ミラクルリナックスは、編集著作物を主張していますね。

    http://www.miraclelinux.com/products/linux/download/trial_agreement_axs3.html

    各社ディストリビューションの利用許諾契約書をよく読むことも重要ですね。

    返信
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