LGPLでコピーレフトの対象と見なす範囲
※「オープンソース・ライセンスの談話室」から移動したページです。
長らくオープンソースのライセンス解説というのをやっておりまして、オープンソースライセンスの基礎と実務というスライドを公開していますが、37ページ目の「コピーレフトの対象とみなす範囲」を修正しました。
修正したのは、LGPLで対象と見なす範囲のところです。
従来は「静的リンクは対象とみなす」「動的リンクは対象とみなさない」と説明してきました。しかし、これは誤解を招くと指摘を頂きました。そこで今回の説明では「静的リンクも対象とみなさない」としています。
LGPLが適用されたライブラリを使う場合、ライブラリ自身を改変する場合と、ライブラリを利用するソフトウェアを作成する場合がありえます。そして、後者のように、ライブラリを利用するソフトウェアは、「ライブラリと結合・リンクして配布する場合、リバースエンジニアリングを禁止せず、結合・リンクしたコードは、ソースコードまたはオブジェクトコードの提供が必要」になります。
もう少し詳しく書くと、ライブラリに静的リンクまたは動的リンクする場合には、
- 頒布物で、ライブラリの著作権表示とライセンスを明記する
- 頒布物のライセンスでは、改変やデバックのためのリバースエンジニアリングを許可する
- ライブラリおよびライブラリの改変物は、元と同じライセンスで提供可能にする
- ライブラリを利用するソースコードまたはオブジェクトコードは、再結合または再リンクするのに適した形式・条件で提供可能にする
といった対応が必要になります。
これは、LGPL2.1の第6条、LGPL3.0の第4条に該当します。
LGPLは、このほかにもライブラリとしての利用ケースに応じて、何をどのようにするのか細かく定義しています。とはいえ、中心にある考え方は、ライブラリ自体のソースコードを自由にしておく、という点にあります。
詳細は、あらためて解説したいと思いますし、拙著「知る、読む、使う、オープンソースライセンス」もアップデートする必要があります。
なお、ご指摘いただいた大内様には、この場を借りて御礼申し上げます。