邪悪なことに使うなという、JSONライセンスに関する個人的な解釈

json.orgにある「The JSON License」が話題を呼んでいます。「The JSON License」は、MITライセンスをベースに、「The Software shall be used for Good, not Evil.」(このソフトウェアは良いことに使うべきであり、悪いことに使うべきではない)という一文が追加されているためです。

JSON(ジェイソン、JavaScript Object Notation)とは、Javascriptのオブジェクト表記法に基づいたデータ形式の記述方法です。Webサービス間の通信などに広く使われています。

このような用途による制限がある場合、オープンソースライセンスには適合しないと言われています。なぜなら、The Open Source Initiative: オープンソースの定義では、用途による制限はできないからです(6. 利用する分野に対する差別の禁止)。スラッシュドットでも、なんだこれは的なコメントが多数寄せられています。フリーソフトウェア財団のVarious Licenses and Comments about Themでも、フリーソフトウェアではない、としています。

たしかに、JSONライセンスという文書を単独で見た場合には、オープンソースライセンスには適合しないでしょう。しかし、実際に問題として、このライセンスをどのように用いるかについては、いくつか疑問があります。

  • JSONフォーマットは、RFC4627として別に規定されている。そちらには、この条項がない
  • JSONフォーマットについて説明した「Introducing JSON」(http://www.json.org/index.html)には、このライセンス文書に対するリンクがない。

つまり、このJSONフォーマットのWebページは、json.orgにおかれているだけで、具体的に何かに適用されているわけではないのです。

なお、日本の著作権法では、コンピュータプログラムのプロトコル自体には著作権はないとされています。データフォーマットについても、あんまり気にすることは無いのかも知れません。そもそも、データ交換で、データフォーマットの独占権を主張して、相手とのデータ交換が自由にできなくなったら本末転倒なだけですし。