テクニカルライター志望者へのアドバイス

ペンギンライター
Photographer purprin

こんな私でもゴクたまに、「テクニカルライターになりたいんですけど」とか「パソコン関係の本を出したいんですけど」といった相談を受けることがあります。先日も、とある人から、どうすれば良いのか、どんな能力が必要なのかという相談を受けました。まあ折角なので、その時の解答を加筆・訂正したものを載せておきます。

とはいえ、相談相手としては私なんかより優れたライター、優れた編集者がいると思いますので、ご意見・ご感想などありましたら、コメント&トラックバックしてください。よろしくお願いします。

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テクニカルライターを志望されているとのこと、私のつたない経験の範囲内ではありますが、アドバイスさせて頂きます。

私も、もともとパソコン教室のインストラクターをやっておりました。そのときに、お客様の困ったことを直接・いっしょに解決していった体験は、解説を書くときにもとても役に立ちました。ですので、あなたのそういった経験も役に立つと思います。

また、どこの編集部も、きちんと書ける書き手を常に求めています。いきなり100%完璧なライターはいませんし、そういう人が来ると編集者も期待していないと思います。やる気があって、そのやる気で自分の能力を磨いていれば、チャンスはあると思います。

以下、いろいろ勝手な思いつきを書いてみますが、参考にしてください。

(良い文章を書くための基本は?)

まず、「てにをは」がしっかりしていること。何を書いているか理解できる文章になっていること。誤字脱字が無いこと。この基本の部分さえできれば、仕事はあるでしょう。

(ライターに必要な能力)

最近思うのは、次の点です。

  • 文章を書く能力
  • 知らないことを短期間で調査する能力
  • 何を調べるべきか、どのように表現するかを判断する構想力・企画力

これは、物を書くという仕事をしながら、相方となる編集者と相談していくことで、身につけていくものだと思います。

これがいきなり最初からできる人は、ほとんどいません。

まあ、そんな難しいことをいきなり言わなくても、約束をきちんと守り、原稿をちゃんと納入すれば仕事にはなると思います。そういうときに来るのは、誰も書きたがらない原稿、たとえばフリーソフトを100本集めて全部に簡単なレビューを付けるとか、VBAのサンプルプログラムを500本集めた本を作るというような、とても手間がかかる仕事かも知れません。でも、そういうのを一度経験しておけば、大量の仕事をバリバリこなすという体力がつきます。チャンスがあれば挑戦してみると良いでしょう。

このほかに、最近あるといいなと感じているのは、自分な得意の「分野」です。

たとえば、Microsoft Officeについて詳しい人は、それなりに多いので競争が激しいようです。まだ誰もチャレンジしていない新しいオープンソースソフトウェアや、プログラ ミング技術を誰よりも早く使いこなすことが、求められています。技術的なことに詳しくなければ、同じ内容を如何にオモシロオカシク伝えるかというテクニッ クが問われます。

(ライターになるには、どうすれば良いのか)

私の場合、ライターの仕事を最初にもらったのは、雑誌の編集後記あたりに書いてあったライター募集の告知からでした。それを読んで連絡を取り(まだメールが普及していなかったので、電話しました)、自分の書いたものを読んでもらい、少しずつ仕事を増やしていきました。もうかれこれ15年も前のことです。依頼、毎日大量の文章を書きとばしています。連絡をとったのは、今はなきエーアイ出版のエーアイムックでした。その編集者さんとは今でもいっしょに仕事をします。

ですので、そういうところを当たってみるのが良いと思います。Webマガジンなどにもライター募集の告知が載っていることがあります。

技術系の書籍(プログラミングとか)だと、オープンソースカンファレンスとかのイベントに、多くの編集者の方が参加していますので、そういうところで知り合いになるといいかもね。あ、各社の編集さんを集めて、一回セミナーをやれば良いのか。秋のOSC tokyoあたりで、如何でしょうか。

(テクニカルライターは喰っていけるのか!?)

IT系メディアに限らず、出版業界そのものが、あまり芳しくありません。パソコン雑誌は、相当数が減りました。パソコン系書籍も出版点数が減っているように思います。また、10年前であれば、一人で三ヶ月かけて書籍を執筆して、それでまあ半年くらいの生活費分くらいの収入になりました。ですが、最近では複数のライターで1ヶ月で本を書いたりしますし、初版部数も減っているため、たいした収入にはなりません。正直、会社員のほうが実入りは良いです。

インターネットの影響もあり、紙のドキュメントを中心とする出版事業は、遠からず変革を迫られる、というか現在は変革の途上だと思います。そのために私は、1年半前にテクニカルライターを主な仕事とすることをやめて、会社員になりました。


テクニカルライター志望者へのアドバイス」への2件のフィードバック

  1. daywalker

    とても参考になるお話でした。
    紙媒体でのライターという仕事がなかなか大変な世の中になって来そうですね。

  2. ピンバック: OpenOffice.org探検

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