投稿者「Yutaka Kachi」のアーカイブ

NYSL:煮るなり焼くなり好きにしろライセンス

choose bolis or burns if you like.

by phalinn CC BY 2.0

WTFPLに関連して指摘があったので、もうひとつ、条件のゆるいライセンスとして、NYSLを紹介しよう。これは、「煮るなり焼くなり好きにしろライセンス」の略称で、k.inaba氏により作成された。

NYSLのもとで公開されたソースコードは、

  • 自由に改変できる
  • 無保証
  • 著作権表示の義務なし

という特徴を持つ。とくに、最後の項で著作権表示は不必要としているので、修正BSDライセンスよりも、すこしゆるい条件になっている。ライセンス文書自体は、CreativeCommmons 0 1.0 Universal(パブリックドメイン)のもとで公開されている。

英語版もあるので、グローバルに広がると面白そうですね。


WTFPL:「やりたいことヤリやがれ」パブリックライセンス

Do What The Fuck You Want

by tangi_bertin CC BY 2.0

たまには、ちょっと変わったオープンソースライセンスを紹介してみましょう。すでに、一部の人たちには知られているライセンスですが。

WTFPL (Do What The Fuck You Want To Public License)は、きわめて条件のゆるいオープンソースライセンス。Wikipediaによると「英語としても非常に下品な名称のライセンス」。「好きなように使え」という以外に、とくに条件をもたない。多くのオープンソースライセンスが備える、「著作権表示を残すこと」「無保証であること」「ライセンス文書を同梱する」といった条件もない。

実際に、これが採用されているソフトウェアがいくつか存在している。

MITライセンス以上にゆるいWTFPLは、ライセンスを考えるのなんてメンドクセーというOSS開発者に、ぴったりのオープンソースライセンスだ。


WordPressテーマに関する、ライセンスとコミュニティポリシー

Twins.
by miggslives CC BY 2.0

WordPressの情報サイトであるWP-Dに、5分で分かる WordCamp/ThemeForest GPL 論争の流れという記事が投稿されました。ThemeForest というサイトでテーマ販売をしていた開発者が WordCamp のスピーカーや運営者としての参加を断られたという出来事を発端に、WordPressテーマのライセンスに関する議論が再燃しているそうです。WP-Dでの投稿では、この出来事に関連して、WordPressテーマのライセンスについて、あらためて分かりやすく解説しています。

さて、私が思うに、この件を理解するポイントは、次の二つを区別することにあると思います。
それは、「WordPressテーマの利用条件(ライセンス)」と「コミュニティサービスの参加ポリシー」です。

WordPressテーマは、WordpPressの一部なのでライセンスは、そのPHPコード部分にGPL系ライセンス(GPL2またはそれ以降)が必ず適用されます。この記事では、PHPコード部分を分けてライセンスを適用することを「スプリットライセンス」(分離ライセンス)と呼んでいますね。

いっぽう、 WordCampというイベントは、コミュニティに向けてサービスです。このようなコミュニティサービスは、利用条件とは
別のルールで提供することできます。今回は、「スプリットライセンス」を許容しないイベントということですね。

コミュニティ活動にどんな思想を盛り込むか、その結果としてどんな人たちが集まってくるのか、今後の展開が気になります。


達人出版会の新春お年玉セール2013に参加中(01/01-01/15)

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Aureusbay via Compfight

新年あけましておめでとうございます。

発売開始から、およそ1年。コンスタントに売れているということで、ありがたいかぎりです。

その達人出版会が、新春お年玉セールを絶賛開催中です。

知る、読む、使う! オープンソースライセンス」も、感謝の気持ちをこめまして、このセールに参加させて頂いています。

通常800円のところ、1月15日まで、40%オフの480円で購入できます。

2013年、オープンソースについて理解を深めたいとお考えのあなた!

この機会にぜひお求めください。


コンスタントに売れている

昨年12月に達人出版から発行した「知る、読む、使う! オープンソースライセンス」が、コンスタントに売れているそうです。達人出版会ブログに「年末年始に読みたい!2012年に達人出版会で売れた本まとめ」という記事がありまして、そこで、こんなふうに紹介いただきました。

『知る、読む、使う! オープンソースライセンス』は、コンスタントに売れている書籍です。「オープンソースライセンス」という、言語やツールとはちょっと違った角度で、多くの方が興味を持つ(興味を持たざるをえない)分野について書かれた本で、「自分で読みたい本」という以上に「人に勧めたい本」という立ち位置にあるようにも思います。

年末年始に読みたい!2012年に達人出版会で売れた本まとめ

お読みいただいた皆さん、本当にありがとうございました。まだまだ、オープンソースのライセンスに関する議論になることがありますが、そんなときに基本を理解する資料として、ぜひ周りにも、お勧めいただければと思います。

「ネットで検索すれば分かることばかり」と、だれかが、どこかで、つぶやいていましたが、実際に自分で検索して、これだけの情報をもれなく見つけるのは、けっこう大変です。それには、時間もかかりますし、中途半端な情報収集で、勘違いをしてしまう場合もあるでしょう。「分かることばかり」とつぶやいていた本人が、果たして必要な情報を見つけ尽くしていたでしょうか。

いちおう本書は、必要な情報を網羅して、理解が進む順番に情報を並べてあります。そういうところも、「本」というパッケージのいいところだと思います。これで不足する情報は、このブログでも補完していますので、あわせてご利用いただければ幸いです。

なにはともあれ、読者があって本が活きるのだと思います。
今後とも、よろしくお願いします。


「初音ミク」公式イラストに、クリエイティブ・コモンズが適用

「初音ミク」の公式イラストに、クリエイティブ・コモンズ・ライセンスが適用されました。クリエイティブ・コモンズ10周年を記念して、「CC BY-NC」になりました。ただし、あくまでも、対象は公式イラストだけ。二次制作などに関する条件は、今までと同じだそうです。

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Hatsune Miku / Crypton Future Media inc. / CC BY-NC

素晴らしい!

以前に、某所で「クリエイティブ・コモンズは流行らない」みたいなことを言われて、えらくアウェイな気分を味わったけれど、これでだいぶスッキリしたかな。


「GPL系ライセンス」とか「GPLと互換性のあるライセンス」とか「GPLv2またはそれ以降」って何だ!?

以下、おれが間違っていたら、誰か指摘してくれるとウレシイ。

オープンソースのライセンスというとGPLが一番有名だけど、じつはオープンソースライセンスには、たくさんの種類がある。そのうちのいくつかをまとめて、たとえば「GPL系ライセンス」とか「GPLと互換性のあるライセンス」とか「GPLv2またはそれ以降」とか呼んだりして、とてもややこしい。GPL系ではないライセンスもあって、「修正BSDライセンス」とか「MITライセンス」とか「Apacheライセンス」とか、こちらも幅広く使われているので、もっとややこしい。

ひとくちに、オープンソースライセンスといっても、その種類によって、使い方に細かな違いがあるんだ。

さて、あるOSSがあって、「GPLv2またはそれ以降」で再配布または改変できるとなっている。だから、このOSSの派生物は「GPLv2またはそれ以降」でライセンスしなくちゃいけない。それを「”GPLと互換性のあるライセンス”でOK」といったら、大きな誤解をまねくと思うんだ。

ここでは、なぜ大きな誤解をまねくのか、ちゃんと説明してみたい。

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